2026-07-23
「うちの役員、何年か前に破産したことがあるんですが、それって申請に影響しますか」——宅建業免許のご相談を受けていると、実はこういう質問は少なくありません。「自分には関係ない」と思っていた欠格事由が、いざ書類を揃える段階になって役員や専任宅建士のどなたかに当てはまっていた、という展開は現場でたびたび起きています。
宅建業免許は、申請者本人だけでなく、法人の場合は役員や政令使用人、さらに専任の宅建士についても「欠格事由」に該当していないかが審査の対象になります。該当者が1人でもいると、原則として法人全体が免許を受けられません。申請準備のかなり早い段階で確認しておきたいポイントです。
上記はいずれも代表的な欠格事由の一部で、実際にはこのほかにも細かな要件が定められています。具体的な該当・非該当の判断は個別の事情により異なりますし、期間の数え方も事案ごとに変わってくるため、心当たりがある場合は自己判断で進めず、事前に確認しておく必要があります。
破産に関しては、免責許可を受けて復権していれば欠格事由に該当しなくなりますが、免責の手続きが完了しているかどうかを本人が正確に把握していないケースが見受けられます。また刑罰についても、執行猶予期間中なのか、猶予期間が満了しているのかで扱いが変わってくるため、「昔のことだから大丈夫」と思い込まず、時期を具体的に確認することが大切です。この点は自治体により運用の細部が異なることもあるため、目安として捉えたうえで個別に照会するのが安全です。
法人として申請する場合、代表者だけでなく役員や政令使用人(支店長等)についても、それぞれ個別に欠格事由の有無を確認します。「代表者さえクリアしていれば大丈夫」と思われがちですが、審査の対象は代表者一人ではありません。
役員や政令使用人のうち1人でも欠格事由に該当していると、その人を外さない限り法人全体として免許を受けることができません。就任予定の役員がいる場合は、就任前に確認しておくことをおすすめします。
実務でご相談をお受けしていると、次のようなケースで欠格事由の確認が漏れがちです。
いずれも「対象になると思っていなかった」ことが原因で、審査の直前になって慌てて調べ直す事態につながります。役員体制が固まった段階で、できるだけ早めにリストアップして確認しておくと安心です。
専任の宅建士として届け出る予定の方についても、役員とは別に欠格事由の確認が必要です。宅建士資格を持っていても、欠格事由に該当していれば専任の宅建士として届け出ることはできません。
特に、専任の宅建士を外部から新たに採用して充てる予定の場合、経歴のすべてを申請会社側が把握しきれていないことがあります。採用面接の段階で本人に確認しておく、あるいは内定後できるだけ早いタイミングで確認しておくと、申請直前になって専任者を差し替えるような事態を避けやすくなります。専任の宅建士が急に確保できなくなると、事務所要件そのものが崩れてしまうため、この確認は思っている以上に優先度が高い作業です。
欠格事由に該当する方が役員や専任宅建士の中に1人でもいる場合、その方を外さない限り免許そのものが受けられません。「一部だけ条件付きで通す」といった扱いは基本的に想定されておらず、該当者を役員から外す、あるいは専任宅建士を交代させるといった対応が必要になります。
また、免許取得後に役員が交代して欠格事由に該当する人物が就任した場合や、専任宅建士の交代によって欠格事由該当者が就任してしまった場合も、届出の対象になりますし、状況によっては免許の維持自体に影響が及ぶこともあります。取得して終わりではなく、役員や専任宅建士の異動があるたびに確認する意識を持っておくと安心です。
刑罰に関する用語は、法改正により「拘禁刑」という呼び方に変わります。欠格期間の考え方自体が大きく変わるわけではありませんが、詳しくは別記事「「拘禁刑」への呼称変更と欠格期間の考え方(令和8年法改正)」で解説しています。
ある法人が免許取消処分を受けた場合、その役員が兼務している別の法人にも影響が及ぶ「連鎖処分」という考え方があります。複数法人の役員を掛け持ちする予定がある場合は、別記事「連鎖処分とは|複数法人の役員を兼務している場合の注意点」もあわせてご確認ください。
欠格事由の確認は、いきなり行政書士や窓口に相談する前に、社内である程度の下調べをしておくと話が早く進みます。目安として、次のような順番で進めておくと漏れが少なくなります。
代表者・役員(非常勤を含む)・政令使用人・専任宅建士予定者を、就任前の予定者も含めてリストアップします。「対象になるかどうか迷う立場の人」ほど、先にリストへ入れておくのが無難です。
破産歴や犯罪歴といったデリケートな内容は、会社側が推測するのではなく、本人に確認してもらうのが基本です。時期や手続きの状況(免責許可の有無、執行猶予の満了時期など)まで具体的に聞いておくと、後の判断がしやすくなります。
「これは該当するのかどうか微妙」という事案は珍しくありません。自治体により判断や運用が異なることもあるため、一般的な目安だけで自己判断せず、早い段階で専門家や窓口に相談しておくと、申請直前になって差し替えが必要になるような事態を避けやすくなります。
役員・専任宅建士の予定者について欠格事由の該当有無に不安がある場合は、お問い合わせフォームから個別にご相談ください。